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セルゲイ・フィーリン硫酸襲撃事件とボリショイバレエ団の闇

フランスのオペラ座バレエ団、イギリスのロイヤルバレエ団と並び世界三大バレエ団の一つに数えられるロシアのボリショイバレエ団で2013年に芸術監督の顔に硫酸がかけられるというショッキングな事件が発生した。

後日犯人として逮捕されたのが同じボリショイバレエ団に所属するソリスト(準主役級)・ダンサーだった。伝統と格式のある世界最高峰のバレエ団で一体何が起きていたのだろうか、未だに原因はわかっていない。


2013年1月17日、ボリショイで芸術監督を務めるセルゲイ・フィーリンは講演を終えてモスクワ市内の自宅に帰宅した。駐車場に車を停めてアパートに向かって歩いていると、突然覆面の男がフィーリンに近づき、手にしていた缶の中の液体を彼の顔にかけた。この液体は硫酸でフィーリンは顔に重度の火傷を負い、目は失明寸前にまで至ってしまう。その後フィーリンはドイツで何度もやけどの手術を受け包帯を巻いて痛々しい姿は日本でも報道されている。

セルゲイ・フィーリンはかつてボリショイのプリンシパルとして活躍し、数々の賞を受賞するなど名実ともに世界屈指の一流ダンサーだった。
38歳で現役を引退し指導者に転向し2011年3月からボリショイの芸術監督に就任した。

現役時代にはしなやかなダンスと甘いマスクで観客を魅了し、バレエ界の貴公子として世界中から注目を浴びたプリンシパルである。指導者に転向してからも周囲の信頼が厚くそんな彼を目の敵にするものもいたのかもしれない。

ダンサーとしても監督としても評価されていたフィーリンが襲われたことはボリショイの関係た時にとって衝撃だった。しかし事件の首謀者が逮捕されると世界中に激痛が走る。

首謀者は同じボリショイでソリストとして活躍する現役のダンサー、パーヴェル・ドミトリチェンコだったのである。

パーヴェル・ドミトリチェンコ


この襲撃事件では3人の男が逮捕された。
フィーリンに硫酸をかけたユーリ・ザルツキー、運転士役のアンドレイ・リパトフ、そして二人に金銭を渡して襲撃を指示したドミトリチェンコ。なおドミトリチェンコは襲撃計画を認めながらも硫酸をかけることは指示していないと主張した。

事件の動機についてメディアはダンサーの配役をめぐるいざこざが原因だと報道。ドミトリチェンコの恋人でプリマドンナのセリーナ・ボロンツォワが「白鳥の湖」の主役を演じたいとフィーリンに直訴としたところ、フィーリングは太りぎみだった彼女に向かって「鏡を見てみろ、それでもオデッセイか」とかと一蹴したと言う。
恋人を侮辱されたことによる恨みがドミトリチェンコを強行に走らせたと見られていた。

犯人は別人の可能性
しかし一部のボリショイ関係者は動機は他にあると指摘する。
実は伝統のあるボリショイには派閥があり、バレエスタイルを巡って泥沼の対立をしていると言われている。
現代的な演目を取り入れるなど近代化に積極的なボリショイ劇場の総支配人、イクサノフとフィーリンが属するグループ、その一方で伝統を守り古典バレエのスタイルを確立して行こうとしていたのがボリショイのトップダンサーだったニコライ・ツィスカリゼのグループだった。ドミトリチェンコはツィスカリゼのグループに属していたとされている。

事件についてイクサノフのグループは黒幕は他にいるとして、それがツィスカリゼを示していることは周囲の目には一目瞭然だった。ツィスカリゼは2017年6月末に解雇されたが、イクサノフもロシア政府から総支配人を解任されている。今回の襲撃事件に限らず、近年ボリショイには劇場の改修工事にまつわる多額の不正や利権の問題、バレリーナたちの枕営業の強要などきな臭い噂が絶えなかった。ロシア政府としてもそんなボリショイ劇場の一新を図りたかったのかもしれない。

内部抗争の中心人物はボリショイ劇場から去り、フィーリンは治療を続けながら今日も芸術監督として劇場に足を運んでいるという。彼らが言う黒幕が公になることがなく、ドミトリチェンコには懲役6年が言い渡された。

陰惨な襲撃事件をきっかけにボリショイが抱える位闇は世界中に知れ渡ってしまった。これ以上名門バレエ団の名に傷がつくことをファンや関係者たちは望んでいないだろう。
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[ 2019/06/07 18:50 ] 海外での事件・事故 | TB(-) | CM(-)
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